FC2ブログ

記事一覧

星ナビ記事 補足

うーん、朝、起きて熱を測ってみると、37.1℃。
普段なら、別にこれくらい・・なのですが、なにしろ、人生初のインフル。で、そのインフルから熱が下がりきっていないということもあり、さすがに移すと悪いしなァ・・・
と、有給にしました。
もっとも、医者に行ったら、インフルエンザウィルスはとっくにいなくなってるよ(笑)
とのことでした・・・。はい、明日は出社します、、、

さて。
今月号から星ナビにて、ラッキーイメージングの記事を書かさせていただいています。
ちょっとだけ補足や、根拠が弱く、割愛した部分なども含めて解説します。

がきっかけで、これは面白いなーと取り組んだのが2007年くらいです。
今回は思い込みとか勘違いがないように、元の英文もGoogle先生のお世話になって一通り読みましたです。
ラッキーイメージング自体はなんでも、1966年?だったか。かなり古くから提唱はされていたみたい。
超短時間露光だと、読み出しノイズが大きな問題で、これが課題だったそうです。で、ヘール天文台では、EM-CCD使ってます。


●読み出しノイズについて

近年のCMOSカメラは非常に低ノイズ化されてきています。ホームページ掲載データをそのまま信じれば、1.2~4e-程度。対するCCDは、星ナビに表で挙げた様に、KAF8300EやKAI2020で16e-(KAI2020は高速読み出しモードでは20e-)とCMOSに比べて4~13倍も悪い。おまけにCCDって、単体だけではないんです。
出力はアナログですので、外付けの回路(システムノイズ)も加えないとならないので、ノイズ量はさらに増します。

ところが、CCDではビニング機能があります。CMOSにもあるじゃない?と思う人もおられるかもしれませんが、CMOSカメラの場合はデジタルビニング。つまり、ソフトウエアビニングとなんら変わりがありません。
S/Nの向上はあ2倍にとどまります。
反対にCCDでは、読み出す前に、電荷を結合するので、2×2ビニングなら、S/Nは4倍(読み出しノイズ1/4)になります。
もちろん、解像度(画素数・分解能とも)が1/4になりますが・・
シュミット・カセの様に、F値が暗く、どうしても、オーバーサンプリングになってしまう光学系との組み合わせでは、例えば、セレストロン スカイリス445Mのような、高QEのCCDカメラと組み合わせ、2×2ビニングで撮影することで、最高のパフォーマンスを発揮できる可能性があります。

記事中だとさらに煩雑になるので、割愛しましたが、光学系によっては、CCDカメラ+ビニングの組み合わせは大事かもしれません

●検出限界について

M57の外ハロ。CMOSが写りが良いことに驚く人も多いハズ・・?
でも、これは当たり前の話で、読み出しノイズが大きいCCDに比べて、CMOSの方が検出限界が高いのは当たり前です。
ただし、これはナローバンドだから、です。

一般的な天体写真の場合、背景光の宇宙の明るさ(Skyレベル・・・極限等級というか、要するに光害調査で、ここの空は、何等級でした、というアレです)があります。もちろん、光害も含めて、その背景光の上に、天体の情報が載っています。
通常のブロードバンド撮影では、もっとも支配的なノイズは何か?と問われると、背景光、Skyノイズとなることがほとんどでしょう。
この場合、読み出しノイズが小さかろうが大きかろうが、Skyレベルからすると誤差にしか過ぎない為、影響は全くありません。
しかし、非常に空が暗いところや今回の様にナローバンドフィルターで不要な光をカットした場合、読み出しノイズが占める割合が支配的になってきます。
同様に背景光が上る前に1枚あたりの露光時間を終了してしまうラッキーイメージングでは、読み出しノイズが支配的になります(なので、天文台ではそれを嫌ってEM-CCD使う)。
したがって、低ノイズのCMOSカメラと、その設定が非常に大事になるということです。
・・・えー・・判るかしらん・・・
読み出しノイズが小さければ良いわけではなく、ちゃんと使い方を考えないと意味ないよッ!?という、ことです。はい・・・。
様々なノイズの中で、最も影響を及ぼしているノイズはなにか?!映像に一番悪影響を与えているノイズはどれか?ということなんですけど、、、
これ、ちゃんと考えてやった場合とそうでない場合とで、決定的な画質差が生まれる可能性もありますよ。
CMOSは、このあたりの設定がシビアーになることが十分考えられますので。
単純に露光時間を伸ばせば良いわけでもないし、ゲインをあげれば良いわけでもないといいますか・・

うーん、電気でもオーディオでも、ノイズ対策とかやったことがある人には判ると思うんですけど、対ノイズって基本的にもぐら叩きなんですよね。
一番大きなノイズを叩くと、まぁ、また次のノイズが現れる・・・

天体写真の場合、昔はあんまり気にしなくても良かったですが、昨今ナローバンドが流行りですからね。
ナローで上手くいかないなーという場合に、長時間露光での暗電流の大きさに起因しているのか、あるいは読み出しノイズの影響が支配的なのか、これ、結構奥深いテーマになると思います。
自分の想像(持ってないのであくまでも想像ですよ)では、そこそこの露光時間で枚数マシマシがBestだと思います。
ゲイン設定は・・・ナローだと難しいねぇ・・
ブロードバンドでは、上述の様に、背景光の上に天体像の情報が載っている、ですから、大事な性能は・・ってほとんど書いてますけど、たぶん、これは4月号でちっとだけ触れます。


●CMOSの暗電流について

これは、確証が得られるものがありませんでした。したがって星ナビ記事としては取り上げられません。
暗電流、ダークノイズですが、CMOSカメラでは、CCDカメラより大きいのではないかと感じている人も多いのではないでしょうか?
もちろん、冷却する効果はありますが、しかし、冷却しても、それでも暗電流が高い気がするんですよね・・
いろいろとデータを探ってみたのですが、SonyもCMOSだと以前ほどの情報をデータシートに載せてないみたいだし、根拠が弱いのですが・・・

例えば、FLI社のKeplerは、裏面照射型CMOS(QE95%!!)を採用したカメラがあります。
しかし、同社製の裏面照射型CCDカメラと比べると、暗電流が文字通り桁違いに大きいです。

したがって、美味しく使いたいなら、なるべく露出を切り詰めてなるべく枚数勝負に持ち込むべきだと判断しています。Gpix社以外のセンサーではちとどうなのか、という点はありますが・・・
AR0130(非冷却)などの様子をみても、暗電流が大きいのは間違いないんじゃないかな。
もちろん、冷却は効果が大きいです。
大きいですが、いくら冷却しているからといって、冷却CCDカメラと同じ露光時間を与えるのはやはりCMOSカメラの使い方としては美味しくないんじゃないかなー・・・
それぞれ機材の性質が違いますからね。

●エアリーディスクについて

φ=1.22λF
じゃないの?と思われる方もいるかもですね。確かに、1.22λFの方が馴染みがあります。
でも、これは半径。
直径で考えるので、1.22×2×λFとなってるのです。

ちなみに、エアリーディスクについて簡単に計算してみたい人は、
神保さんのページ


へどうぞ。波長は、d線の587nmで計算してますね。


●オーバーサンプリングはだめか?

これも根拠が見つからなかったので、記事中に名言はしませんでした。
エアリーディスクで例えば4画素に跨ってしまった場合、被写体からの光子は、変わらないので、感度1/4と同義になります(これの根拠がググっても出せなかったですが・・)
できるだけシーイングの影響を緩和する為に早い露光時間で切り詰めたいのに、感度1/4って相当勿体無いですよね?
もちろん、これはラッキーイメージングで、ギリギリを狙う場合での話です。

逆に、デジタル一眼の様にラージフォーマット・多画素の場合には、暗くなっても大きく視野いっぱいに撮影し、プリントした方が綺麗になるケースもあります(2008年頃になすはちさんがC11直焦点+EOS KissDでやられてました)
この場合、構造は写ってる部分は写っているので、Deconvolution等のエグい系の処理は不要で銀河の暗黒帯の描写が見事に達成できているなど、後処理も含めて、トータルとして作品をどう見せるか、という問題も絡んできます。
ただ、1型以下の小さいセンサーの場合では、余裕がないので、やはりオーバーサンプリングで撮るべきではないかなー・・という希ガス・・


●カラーCMOSについて

これも、20年くらい前はWebでも根拠は見つかったと思うんですけど・・
単板カラーは、モノクロカメラに比べて、実質の画素数は0.7掛け、分解能は1.5倍!と、いう俗説・・
いや、昔は常識だった・・・よねぇ・・?
最近だと、DeBayer(現像・カラー化)アルゴリズムが優秀になっているのもあって、単純な話ではなくなっているのだろうな、と思います。

とはいえ、ステライメージを始めとするカラー化アルゴリズムが進化しているとは思えない。
なので、カラーCMOSの場合、画素ピッチは、1.5倍ほど大きめにみて検討で良い気がします。(2.4μ画素のIMX178Cだと、モノクロの3.6μ相当っと、いう具合)
まぁ、でも、モノクロカメラとLRGB合成するなら、やっぱり今買うなら、IMX385カメラだなぁ・・


●ニュートン最強!?
まぁ、安いですからねー。
普通のデジタル一眼レフでも使いたいとかなると、またとたんにハードルが上がるんですが、小さいセンサでいいや!と割り切った瞬間から、10万円以下で30cmが買えちゃうんだから、これを使わないテはないですよね。
で、直焦点でできたら使いたいので、やっぱりF5ニュートンが最強じゃないかな?

●口径差

ある意味、長年やってきた自分らしいテーマだと思います。
20cmはさすがに古いので再処理しました。
今とまったく同じ処理をほどこして、どれだけ迫れるのか、楽しみではあったのですが、まぁ、結果としては、口径の差は絶対的かな、と思いました。

しかし、日本のシーイングでは、口径30cmが限界点という意見もあります。

天文学辞典より抜粋
可視光の観測では望遠鏡の口径が30 cm程度(回折限界約0.4秒角)より大きいと、回折限界よりもシーイングの方が大きくなるので、分解能は回折限界ではなくシーイングで決まる。

しかし、もう15年ほど前に、TaNaKaさんに相談したことがあるのですが、その際に、仮にシーイングが悪くても、最も細かい部分の構造描写はスポイルされたとしても、次の分解能には、口径の余裕が活きてきて描写に余裕がでてくるよ、と教わったことがあります。
実際、40cmドブ画像を30cm冷却CCD画像に上乗せすると、M51などは分解能はほぼ変わらずでしたが、表現力に幅が出るというか。単純な構造描写だけではない、なんというんだろう・・深み・・?が出て、作品性がぐっと向上するのを感じています。

M82に関しては、40cmの方が上ですが、これはラッキーイメージング効果でシンチレーションの悪影響をはねのけたから、と考えることもできるし、海外の30cmの方がディテールが凄い!というのは、そもそもの日本のシーイングの限界、というのも感じるわけで・・・

まぁ、いずれにしても、国内では、40cmが無駄か?と言われれば、今の所は、No!ですかねー・・

自分の経験から言えば、眼視だとシーイングが悪いから小口径の方が良く見える、はあるかもしれない。
ただ、撮影となると、仮にシーイングが悪かったとしても、小口径の方が良く写った!なんてのは、撮影方法に問題があるとしか思えません。拡大率を落として撮る、高速シャッターで切って選別を厳しくする、など対処する方法はありますからね。
口径が大きいほど、採れるオプションが多くなるのもあって、性能を引き出し難くなる面はあろうかとは思います。
しかし、小口径に負けることは無いハズ! ^^;



あ、その他、聞いてみたいことなど、ありましたら、ご遠慮無くどうぞ!
答えられる範囲内で、ということにはなりますが・・・



関連記事
スポンサーサイト



コメント

No title

こんばんは。インフルは治りつつあるのですね。良かった!
この補足記事は、気になっていることがたくさん解説されているので、とても参考になります。
特にCMOSの暗電流は、最近ASI294MCを使うようになってから、すごく気になっていました。そして検出限界については、
「低ノイズのCMOSカメラと、その設定が非常に大事になる」これを具体的にどうしたら良いのか、迷っています。

No title

> いーぐるさん、こんにちは。
体調は今一歩なのですが、すでにインフルはいない、ということでしたので、問題なさそうです。ご心配ありがとうございます。

IMX294は、最近のデジカメのセンサと同様にデュアルゲイン持ってるので、ちょっとやっかいですね。
ただ、カラーカメラで、光害地で撮るとなると、大事なのはダイナミックレンジです。したがって、ゲインは切り替わりまで上げるとして、それ以上はあげない設定がBestであろうと推測します(ちと想像に近いですが・・)
あとは露出時間が1分がいいのか、3分がいいのか、は、やってみないと判らないのですが、センサ感度がいいので、1枚あたりの露光時間は詰める方が画質はあがるかもですね。

No title

おっと、興味深い記事が。
まずは星ナビを買わねば。
このブログの記事も保存版として活用させて頂きます。
ナイス!!

No title

冷却CMOSの FLI KEPLERが出現して、田中さんのテストでは1分X10枚と10分X1枚で SN比は変わらず、CCDに比べでSN比は1.7倍だそうです・ナロー主体の国内ではこちらに移行しようと思ってます

No title

> タキさん、こんばんわ。
どうもありがとうございます。
CMOSとCCDは似ているようで、やっぱり違うのもあって、面白いです。
CMOSの方がピーキーですね。

No title

> s43**001さん、こんばんわ。
情報、ありがとうございます!!!
Keplerはとても良いカメラだと思います。読み出しノイズが低い分、感度が高くなるので、S/Nも上がりますよねー。
ただ、CMOSだと、やっぱり1枚10分はないなー・・と思います。やるなら、1分×10でしょうね。
Kplerなら画素ピッチも十分大きいので、Dレンジも大きいので、それこそ、ブロードバンドでも、効果大だと思います。
ただ、露光時間が、1枚あたり、2,30秒×多数枚になるかも・・ですが・・
まぁ、このあたりは手間と枚数を考え見て決めていただければ良いかも?ですが・・

No title

星ナビの記事と合わせてじっくり読ませて頂きました。ラッキーを掴むためにやっぱり相当勉強されているんですね!安易に結果ばかりを求めている自分にちょっと反省です(^^;
今年は連載をじっくり読ませてもらって私もラッキーイメージングに挑戦したいと思います。

No title

星ナビ記事、読みました! UTOさんらしい考察ですごく勉強になりました。CMOSは新しいいいのがどんどん出てきてますけど、CCDは新しいセンサーって開発されているんでしょうかね?(^^; KAF-1603あたりのCCDセンサーは発売されてソロソロ20年くらいたつような気がするのですが、やはりノイズが大きいのがネックですね。いまの技術があればもっとノイズの少ないセンサーも開発できそうな感じですが・・・(^^;

No title

2時間でも 1分 X 120枚ですからね コンポジットできるPCが大変です
高精度エンコーダーならおそらくノータッチ4000mm行けますね

No title

> ☆シュミット☆さん、こんばんわ。
ちょっとまだいまいち体調が優れなくて返事が遅くなりました m(_)m
記事を書くにあたって、やっぱり調べ直したりしました ^^;
そこまで深く考えることもないのかも?ですが、でもせっかくならやっぱりきちんと考えてやる方が、間違いはないですしね!
ぜひ、シュミットさんもチャレンジしてみてください。

No title

> ひろしさん、こんばんわ。
どうもありがとうございます。CCDはSonyがやめてしまうのもあって、最近は新型がでませんね。KAF1603EやKAF3200もリファインしてくれると面白いと思うんですけどね・・

No title

> s43**001さん、こんばんわ。
そうなんですよねぇ、、多数枚って、ダーク減算したりするだけでも大変ですから、結構シンドイんですよね。
PC,60枚くらいで1セットにしてコンポジットしたのを最後にまとめてコンポジットという感じでやってたりします、、

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

UTO

Author:UTO
子供の頃、図鑑で見たパロマー天文台の天体写真に憧れて、天体写真を初めて幾星霜・・
デジタルカメラの進歩によって、当時のパロマ天文台の写真を超える天体写真がアマチュアでも撮れる時代になりました。

月別アーカイブ