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星ナビ 4月号記事ラッキーイメージング3 補足

帰宅してみたら、星ナビ誌が届いてました。
ラッキーイメージングの記事も、今月で最終回。
長いようで短かった3ヶ月間(電話があったのは10月だったので、足掛け5ヶ月間)でした。

TOP写真 M42SAO
もう11年も前に書いたホームページでも書いているのですが
天体写真の場合
①空間分解能
②波長分解能
③時間分解能

の3つが考えられます。
①は大口径で、焦点距離とカメラの組み合わせが妥当な時に達成可能になります。
(2008年当時は、CCDカメラの画素ピッチも粗いものが多かったので、今なら、この表現になりますかね・・・)
これは2月号の記事参照
③はラッキーイメージングそのものです。露光時間を切り詰めることでシンチレーションの影響を緩和するのがラッキーイメージングです。
②は馴染みがないかもしれませんが、要するにナローバンド撮像のことです。
天体写真用のRGBフィルターや、単板カラーのデジタル一眼レフカメラの、例えば、赤チャンネルだけ拾ってみると、半値幅が100nmを超える広い透過範囲を持っています。
そうするとHα線以外の輝線・・たとえば、OIの630nm(惑星状星雲以外で光ってるのかは不明ですが)とか、SⅡの672nmとか、ひょっとしたら、光害のナトリウム灯の589nmとか(フィルタ特性による・・がデジイチの単板カラーは拾いそう・・)、連続光のLEDの光害とか、いろいろと余計なものまで拾ってくるわけです。
これを例えば、半値幅10nmのHαフィルターを使ってあげれば、波長分解能は10倍!連続光の光害の影響も1/10(半値幅100nmと比べて、さらに光害源に波長依存性がないと過程した場合)となるので、純粋にHα輝線のみを取り出すことが可能になり、S/Nを高めることが可能です。
星雲起因の他の輝線も入り込まないので、構造描写も鋭くなるのは、なんとなくお解りになると思います。

波長分解能については、触れたかったんだけど、文章量から削らざるを得ませんでした・・
一番最初に、4ヶ月でもいいよ、と仰ってたので、素直に4ヶ月やらせてもらえば良かったかも、、(;_;)


オフセットについて

ブログを拝見していると、カメラについて解析されている方々もいらっしゃるのですが、オフセットについてはあんまり触れられてないのかなぁ・・
個人的には非常に大事なお話だと思ってます。(本誌参照)

初期のASI120MMは、バッサリ切られてましたからねぇ・・・

伊豆天城天文台 RCD50直焦点(PrimeFocus) ASI120MM 3秒×1000コマ程

コマ収差か非点収差が出てますが、いや、でも今みると凄えな、、さすが50cmF2.8!!
F2.8ですから、ホンネをいえば、1/2秒で撮る予定でした。しかし、伊豆天城の空はやはり暗い・・!
写りは十分なのに、当時のZWOのドライバでは、背景がバッサリカットされてしまって、3秒まで伸ばしてなんとか映像にしましたヨ・・
この前に撮影させてもらったM64は6秒くらいまで伸ばしてしまったと思いましたが、まともな映像にならず、、_| ̄|○ il||li

CMOSカメラでは、オフセットは大変重要なファクターです。
まぁ、0以下にするのは、2010年より前のCMOSカメラではよくあったのですが(ガイドカメラのPL-130、金亀とかナゲットとか・・ガイドカメラとしてはある程度明るい星が拾えれば良いので正解でしたが。。)、ZWO ASI120MMでも初期のドライバでは、背景が暗いとダークが潜る(0になる)現象がありました(数年前のドライバからは解消)

ただ、ゲインとも絡むのですが、ZWOの場合、[ Lowest read noise] を選択して撮影してみたら、たった4秒のダークでも、カウントが2000超えるんですよ・・・
いかにもラッキーイメージング向きのプリセットなのに。
12bitA/D変換の上限は、4096ですからねぇ・・・・
半分、ノイズにあげちゃってる事になるわけで(まぁ、最小値は1000くらいですが)
こりゃダメだわさ。

所持していないのもあって、はっきりと書きませんでしたが・・・
これ、どちらかというと冷却CMOSを持ってる人で、長秒露光やってる人が選んではいけないセッティングです。
ラッキーイメージングなら、実はこれでもいいんですが(どうせ、そんなに輝度値上がらない)、まぁ、せっかく調整できるんだしね。
この場合、ゲインとオフセットを下げて、もう少し、階調を上手に使いましょう・・・

ゲインについて

ん、まぁ、個人的には、ゲインって、好きじゃないんですよ、、、
確実にピーキーな画像になるじゃないですか。
記事中にも書きましたが、光害地ないし、月夜に撮影するとしたら、一番大きなノイズはリードノイズではありません。
バックグラウンドのスカイノイズが問題です。
うーん、この辺り、オーディオでAMPやってる人は得意らしいんですけどね・・
ノイズって一番高いのを先ず叩かないと意味がないッス。
それを無視してリードノイズだけ下げても意味がありません。

ナローバンドで波長を絞ると、前述の通り、背景光が落ちます。また1級レベルの空であれば、非常に背景光は落ち込みます。
このような状況で、初めて、ゲインが活きてくるのです・・・。
これも、本当は、どちらかといえば、冷却CMOS使ってる人向きのお話だったりしますが・・・ σ(^^; 
あとは背景レベルが上がってくると、今度はリードノイズが無視できるんですよね・・
なので、ますますゲインの意味が・・
ダイナミックレンジの方だ大事じゃないかなぁ・・?

ただ、ASI385、ASI294の様な第二世代とでも言いましょうか・・
デュアルゲインAMP搭載型のCMOSカメラだと、ある程度のゲインで劇的にリードノイズが下がります。
これは、さすがに利用しないテはないですよね。

ラッキーイメージングは読み出しノイズの低さが効いてくるのは、2月号の通り。
実際、ゲインを上げて、増幅までしちゃうEM-CCDカメラを天文台では使ってますから(ヘール天文台のキャッツアイ星雲の作例は明らかにナローバンドも使ってますし)、ゲインも上げて、超短時間露光で撮る!
というのも、ひとつの手段だと思います。
自分の場合、ToupCamがOffsetを調整できないので、まさにその状態です・・・


前露光について

識ってる人って、ほとんど皆無でわ σ(^^; 
25年前の大学の図書館で、天体写真の文献があり、そこに記載がありました。
感度Upは2倍程度と書いていた気もしましたが・・
三色分解をオレンジ色のフィルターで行う=パンクロマチックフィルムの時代・・・1970年代の文献でしょうか・・?
書籍名を覚えていないのは残念ですが、まぁ、25年も前だものねぇ・・・
内容としては、西条さんの天体写真テクニック以上に論文ちっくだったと思います。何度も読んで3回生時にようやく理解したみたいな。

今なら、フラット撮影用のEL板なり、LED板なりで簡単に実現できそうです(明るさの強度に試行錯誤は必要ですが)。フィルム天体写真派の人は今だからこそ、試してみる価値がある方法な気もします。

原理としては全く違うのですが(さらっと流すつもりが、川口編集長がちゃんと説明加えてくれました)、ToupCamや初期ドライバのASI120MMのようなカメラでは、光害も助けとなるのです。

縦縞

Sonyセンサだと薄い横縞になるので、この場合は、赤緯方向にセットしてくださいね。
Sonyセンサはランダムノイズなので、FPNノイズとは違いますが・・
縦縞を克服すると、横縞が見えてると思っていただいて良いと考えています。前述のオーディオAMPと同じお話です。
旧AptinaセンサであるAR0130やMT9M034等ではまだそのレベルに達してません。が、1枚画像では、縦縞はあんまり目立たないでしょ?

M13 露出1/2秒 1コマ

1/2秒で、星雲・星団が撮れる・・・
子供の頃、地人書館の『星の手帳』にイメージインテンシファイアを使って撮影されたM13が1/2秒露光だったと記憶していますが、ASI120MMの出現で、とうとう、その時憧れた写真をより高いクオリティで得ることが可能になったと思いました。感無量の瞬間です。

おっと、話が逸れましたが・・
FPNノイズは多少なりとも残っているので、積算(コンポジット)すると目立ちます。
それを避けるには、ピリオディックモーションを利用するのが一番です。
さらに位置を意図的に変えてあげれば、縦縞が目立つことはまずなくなります。(3月号記事のM64参照)

それでも目立つ場合は、AstronomyToolsのVerticalNoiseReductionのお世話になったりもしています。
もっとも、私が所持しているのは、もう15年近く前に買ったものですが・・(当時のプラグインでは、CCでは問題あり、らしいです)
クセはあるけれど、Psプラグインですからね。マスクや合成割合など、落とし所を探れます。


ALICEについて

ん、まぁ、そういうことです。略称は星ナビ記述の通り。
初代ALICEはCCD機でしたので、今のCMOSのALICE-Ⅱがあります。
オークションでもなんでも、暗視ないし、赤外カメラが手にはいると面白いんですけどね。

CCD機はやめたほうが良いです。
CMOSはオンチップで、ADCまで行ってくれて、ディジタル信号で出力してくれていますが、
CCDは基本的にアナログ出力です。調整が必要ですから、安易に購入するのはやめた方がいいかもです。
(自分も、ヤフオクで、フルサイズセンサカメラを見かけましたケド・・)

いや、まぁ、ST7Customとか(もちろん?ジム・スイナイパーカスタムから命名。カスタム機はこうでなくっちゃ・・!なんちゃってST8の時は、Ez-8を名乗るかどうか悩んだ・・爆 だって差し替えただけだし、イージーだもん)、CCDセンサ差し替えとかやりましたけど・・
CCDだと、本当を言えば、相関ダブルサンプリング(CDS)の調整とかしないと読み出しノイズが増えるんですけどね。
長秒露光するので、その部分は気にしなくて良かったみたいです。
バックグラウンドが上がるからね。QEの方がよほど効いてきた。
まぁ、当時の仲間達の調査で、SBIGが割とえーかげんだったのがわかったので、差し替えても、オリジナル機とほぼ同等で動くだろうと(爆)
15年も前ですけど、なんというか、楽しかったですね。こういう悪巧み(爆)
かかるお金は今よりも10倍以上してたのですがσ(^^; 
お互いの情報をできるだけ出して、できるか出来ないか・・
映像がちゃんと出た時は嬉しかったなァ・・
ムトーCVシリーズの方は、StarlightYokohamaさんのアドバイスでいろいろとお世話になりました。

CMOSも、ケータイカメラで有名なOmniVisonの裏面照射CMOSもAmazonで安くでてますので、今はほんと、ちょっと自作を楽しむにも、いい時代になったなぁー・・と思ってしまいます。
まぁ、IMX291に比べると感度はないみたいですけど・・・

あとは、まぁ、やっぱり、Z社やQ社のように天体専用機ではないので、クセはありますね。
今回は、どこの設定項目かはわからないのですが、デジタルゲインに起因するリング状のムラが出てしまいました。
あと記録は8bitになりそうなので、まぁ、どうしても安く試してみたい!という方以外は、高くてもZ社かQ社のIMX290カメラをオススメします。
ALICE-291は、どこかで惑星撮影してみようかと思っているところです(せっかく作ったし・・)

カラーCCDとモノクロCCD

これもちょっと、文章量が足りませんでした。
惑星状星雲なら、カラーカメラでも、モノクロカメラでも、条件次第で、ということにはなりますが、差異はほとんどなかったです。
ってか、自分のクレオパトラの例では、QHY5III178Cの方がディテール描写が上でした。
これは、モノクロL画像が、波長400nm~1100nmまでの撮影に対し、カラーカメラでは各色で、100nmないし、150nmの波長範囲で映像を取得している(要するに波長分解能が高い)ことに起因していると思います。

逆に系外銀河では、光量で、露出を決めなければなりませんので、全波長が使えるモノクロCMOSと、波長が制限されてしまうカラーCMOSとでは結果に大きな違いが生じます。


王道と逆を行く

これ、実は川口編集長のアイデアだったりします σ(^^; 
でも、まさにその通りなんですよね。
主流ではない“邪道”の作風・・亜城木夢叶みたい。
いいじゃん!まさに自分の天体写真そのものを言い当てられた感じがします。
いやぁー、見事に当たってるというか痛い処つかれたといいますかσ(^^; 
O型なのもあって、細かいの嫌いなんだよぉ~・・
APS-Cデジと4/3モノクロで苦労してるもんね、、^^;
\(・_\)ソノハナシハ (/_・)/コッチニオイトイテ

ラッキーイメージングについては、月夜、光害の撮影向き、ということで、デジタル一眼カメラによる撮影とは異なる=デジタルカメラで撮影する状況ではないんだけど、ガイドカメラでお気楽に撮ってみませんか・・?
天体写真の幅を広げてみませんか?
と、いうのが伝えたかった事で、それは本誌からも感じとって頂ければと思います。

デバイスが違えば、表現も違うし、やれることも違いますからね。
でも、それってすごく勉強になるというか。見識が広がると思うんですよね。
QHY5-IIだと、たかだか120万画素なのですが、でも、その感度の高さのポテンシャル、ディテール描写は、貴方のメインのフルサイズデジカメを軽く凌駕するのですよ。
それを活かさないのは勿体なくありませんか・・・。
月夜で、お遊びでいいんです。
せっかく買った機材なので、ぜひ、使ってあげて、さらに作品につながる機会があれば・・
と切に願う次第です。
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コメント

No title

こんにちは、
今月号の記事でやっと、ダークが潜る、とか光害があった方がよい、という意味が理解できました。どうもありがとうございます。
ZWO224MCでそういうのをあまり気にしなくてよかったのは、それまでに多分あちこちで問題にされていて、改良されたものを使わせていただいていたためだったのですね。

前露光、懐かしいです。昔、水素増感が出てくる前は前露光からアンモニア増感までちょっと試しました。

ゲインについては、あまりに低いとソフトが暗めの星や星雲を認識してくれなくてうまくいかないことがありますので、ZWOカメラでは300以上にしています。
縦縞、横縞はAutoStakkert!ではかなり軽減できますが、縦縞がほぼない224MCで縦縞除去をうっかりONにしていたら逆に薄っすら変な模様が出てきたので、何らかの副作用があるのかなという感じです。

それにしても・・、「王道と逆を行く」というのは、「ふはははは」がつけば、あ〇〇な〇とさんみたいだな、と・・・)
これでもっとこの撮影が広がってほしいですね!

No title

> Yamashitaさん,こんにちは。
ZWOのプリセットは割と安全を見越している面はありますが、優秀ですね。
QHYだと、自分でちゃんと設定しないとダークが潜ったりします。
ただ、安全見すぎているので、ダーク(+バイアス)に4096の中の2000階調もあげちゃうのはちょっと如何なものかと。
前露光、やられてましたか!超像感もいろいろとありましたよねー。

ゲイン、そうかAS!などのソフトだとそういうこともあるのですね。ステラだとほとんど問題ない(と、いうかそういう星を括るからか・・)と思います。

画像処理がちょっと面倒ですが、それでもクローズアップ撮影には良い方法なので、ぜひ挑戦してくれる人が増えると嬉しいですね!

No title

遅ればせながら、4月号の記事拝読いたしました。
色々な示唆に富む良記事でした!!
オフセットに関しては、いつぞやの「ダークファイル減算時に生じるマイナス値」の件で「重要かも」と気がついたのですが、「光害があった方が有利かも」というお話も納得です。
「前露光」懐かしいですねぇ。そう言えば昔、「フィルムを活性化する」目的ではなく「明るく見せかける」目的であれば「後露光でも同じでは」なんていう記事も見かけましたね。フィルムはともかく、デジタルの場合は「後露光」でもノイズ低減に寄与するかもしれませんね。

今は身動き取れませんが、落ち着いたらVMC260L使って『邪道』遊びに復帰しまーす♪

No title

> あぷらなーとさん、こんばんわ。
どうもありがとうございます。オフセットについては触れたかったので、なんとか書ききれて良かったです。
ラッキーイメージングはやっぱり手法的に暗いお山で撮るよりは光害のある中で気楽にやってみるのが一番かなと思っています。
そうそう、ステライメージのコンポジット法も紹介できて良かったです。
後露光、なるほど、です。

VMC260による邪道遊び、楽しみにしてまーす(^o^)v

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プロフィール

UTO

Author:UTO
子供の頃、図鑑で見たパロマー天文台の天体写真に憧れて、天体写真を初めて幾星霜・・
デジタルカメラの進歩によって、当時のパロマ天文台の写真を超える天体写真がアマチュアでも撮れる時代になりました。

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