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透過率とか反射率とか

北海道のエツさんが面白い話題を出していたのと、たまたま他の方からも似たような話題が出たので、ちょっとググって調べてみました。
もっとも、一番、自分自身が関心があったのは、10年程近く前?タナ光のTaNaKaさんから、ディエレクトリックコーティングはNIRが抜けてくるよ、という衝撃的な情報でした。

近赤外光は、都市部で銀河狙っている冷却CCD使いとしては非常に重要な帯域で、かつてのKodak CCDセンサーも、NIRに感度が高いものが多かったことから、赤外域を棄てる(カットする)ということは、感度(光量)の半分を棄てているのと同義と言われていたものです。

前々から気になっていたのですが、今回、たまたまコーティングについて調べていたら、エドモンド・オプテックスのページが引っかかりました。

fig-4-mmc.gif
これによると、従来のアルミメッキ+SiOの保護コーティングだと反射率は90%程度ですが、増反射メッキ(ディエレクトリックコーティングと同義)を施した場合(GSOのリッチークレティアンがよく謳ってますが)なんと、700nmから急激に反射率が落ち込み、850nm付近では65%弱まで反射率が落ち込みます・・(反面、450-650nmの範囲では反射率95%以上です)

これは、ST10XMEや、SXVR-H694のExViewHADセンサーなど、赤外感度が高いCCD素子を使っている場合にはかなり嬉しくない・・。
タナ光のTaNaKaさんはご自身の測定系での実測でしょうが、たぶん、GSOの25cmRCを検討したときに頂いた情報かなァ・・。まぁ、自分の目的にはそぐわないので、旧来からのアルミメッキ+SiO保護コートで十分です・・。
一番良いのは、やっぱり銀メッキ+保護コートですねー。耐久性がどうか、と対応してくれるところがあるのか、価格がどうか、など、考えることは多そうですが・・

まぁ、反射望遠鏡だと、主・副鏡の2面反射ですから、各面90%の反射率としても、2面で、81%ですからね。簡単に光量が落ちるわけで、実効F値が暗いと言われる所以です。(さらに副鏡の遮蔽率も入れないといけないですからねー・・)、そうすると1段分は暗くなる計算です。

ディエレクトリックコーティングも、暗いところでデジカメないしカラーカメラで撮る分には効果的でしょうが、近赤外線まで利用したい光害地での撮影ではかなりのロスがあります。

その一方で、屈折系のコーティングは進化が著しいです。

nanokuri.jpg
(右) ナノクリスタルコート  (中) ニコンインテグレーテッドコーティング (左) 従来のコーティング

こちらもググって拾ってきました。
ナノクリスタルコーティングだと、透過率99.95%!だとかで、ほとんど光のロスがありません。
ビクセンさんのASコーティングも透過率99.9%。
望遠レンズを始めとする屈折光学系については光のロスはさほど気にする必要がなさそうです。
ちなみに、シネマレンズなどでは、透過率も考慮したT値が採用されており、Canonのシネレンズをちょっと見てみましたが、135mmF2レンズは、T2.2とほとんど気にしなくても良さそうです。

ただし、90年代以前のタカハシや、ビクセンの補正レンズの薄い黄色いコーティングはかなり透過率は悪いらしく、4枚玉のイプシロン200などでは、800mmF4なのに実効F値は5.6以下!と揶揄されていたものです(実際、かなり実効F値は暗い印象です)

あと、実効F値が暗いといえば、ウチのASC-11は、補正板ノンコートなせいか、MT160の二面反射に比べてもさらに透過率が悪いのもあってか、クローズアップACなどで、F値を6.5まで落としても、かなり実効F値が暗く感じます。

手放してしまいましたが、4枚玉アポ屈折のAT65EDQは、F6.5の割には体感感度はかなり高い印象でした。
古いウチのNewFD300mmF2.8Lも、コーティングでのロスは大きいのでしょうが、それでも、GENESIS SDFにレデューサのF4.3よりは明らかに明るい(とはいえ、これもレンズが6枚?になる・・)ので、光量低下は半段程度ではないでしょうか。

反射望遠鏡に比べれば、屈折光学系の光量ロスはほとんど考えなくても良いのかもしれません。


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コメント

No title

その代わり赤外色収差がっ!
そもそも屈折系コーティングの透過率も可視光の話で赤外は考慮してないと思われ。
金属薄膜にしろ有機(電気二重層)薄膜にしろ、薄膜干渉を利用して透過/反射率を
アレコレする以上、波長や入射角に依存するわけで。それにしても850nmに
落ち込みが有るとは…。この波長は赤外リモコンのLEDや血中酸素濃度を測る
レーザLEDによく使われてるから(秋月でも売ってます)、赤外リモコンの光害を
避けるためにわざと落としてるのかな?ちなみに850nmって余裕で見えてるので
赤「外」ではなく可視光だと私は思ってて、撮影に使ってるIBM ThinkPadも
横にIrDA通信のLEDがチカチカして気が散って鬱陶しいといつも感じてる。

個人的にはシリコンの感度を有効活用すべく、1100nmまで素通しの光害カット
フィルタが欲しい。

Re: No title

>kaz
さん、こんにちは。

そうですね、屈折系のコーティング、可視域のみのお話だと思います。
あと赤外色収差は、設計次第、かなぁ・・。VixenのFL-80Sは、9μ画素で見る限り850nmまでは良好でした。
http://photozou.jp/photo/show/2183755/240060597
さすがに850nm以上のSC70+Rフィルターでは、星像が肥大していましたが・・気になる程でもなく・・。
近赤外撮像が可能だったのでいい機材を手放してしまったかなぁー・・(;´д`)トホホ…
GENESIS SDFでは無理ですね・・きっと。

> それにしても850nmに落ち込みが有るとは…。

これびっくりしました。SiO保護コートでも判るように、もともとのAlの特性でしょうか?
可視光のARコートをした結果、さらにそれが強調されているのだと思いますが、2面反射でこの反射率は致命的ですね。

TaNaKaさんからは以前教わってましたが、ディエレクトリックコーティングで検索してもなかなか裏付けが取れなかったのですが、今回、たまたま、エツさんの記事から、調べてみたら、エドモンドの情報がひっかかり、納得しました。


> 個人的にはシリコンの感度を有効活用すべく、1100nmまで素通しの光害カットフィルタが欲しい。

ですねー。光を、センサが持つ性能を、フルに活かしたい!と思うのはエンジニアとしては当然ですよね。

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プロフィール

UTO

Author:UTO
子供の頃、図鑑で見たパロマー天文台の天体写真に憧れて、天体写真を初めて幾星霜・・
デジタルカメラの進歩によって、当時のパロマ天文台の写真を超える天体写真がアマチュアでも撮れる時代になりました。

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