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インパクトロンCCDカメラ

  1. インパクトロンCCDとは
過去に、テキサス・インスツルメンツ社が製造・販売していた電子像倍型CCDの愛称です。
通常のCCDカメラでは、垂直転送のあと、水平転送回路に送られますが、インパクトロンCCDでは、像倍段を設けており、そこに高電圧(と、いっても50V程度のようです)を加えることで、アバランシェフォトダイオードとほぼ同じ原理で(自分の理解の範囲で、ですので違ってるかもしれませんが)、電子をポテンシャルの井戸に叩き落として、電子像倍を図るCCDカメラです。
EM-CCD
図は、RoperさんのHPから拝借したものだと思います。インパクトロンCCDでは、5000倍までの電子像倍までは至らず、2000倍止まりですが、原理としてはほとんど同じものだと推察しています。

TI社が、CCDから撤退してしまい、必然的にインパクトロンCCDもディスコンになって、おそらくすでに10年超・・・
インパクトロンCCDが天文ガイドに取り上げられていたのは、2006年頃だったかと記憶していますし、先進的なCAN(CCD Astronomy Network)で、K原さんやO本さんが発表されたのは、2002年頃だったと記憶していますから、もう、15年以上も前の技術のイメージセンサです。

ただ、このカメラが、当時はとても手が出ない価格でしたが、現在では、eBay等、入手不可能ではないお値段で手に入るようになってきてもいます。

インパクトロンCCDやEM-CCDの利点としては、A/D変換する前に、アナログ的に像倍することによって、読み出しノイズが無視できるようになるところにあります。
ラッキーイメージングで、ヘール天文台が採用したように、EM-CCD/インパクトロンCCDは究極のラッキーイメージングカメラなのです。

インパクトロンCCDの撮影結果

一番の理想は、40cmGotoDobで使えると面白いと思っていました。
が、やはり?重たすぎて、、、このカメラ、3kgくらいあるのでは・・( ̄ヘ ̄;)ウーン
導入も追尾もバランスの悪さから上手くいかず。
さしあたり、ウチで使えるのは、MT160,ε200、ASC-11かなぁ、、オライオン30cmではちょっと無理がありました(強引に一度、テスト撮影してますが・・。持ち上がらない)
画素ピッチが8μとやや粗いことから、ASC-11でお手軽銀河撮影ができないものかと、テストしてみました。

◆共通データ◆========================================
田中光化学工業製 ASC-11”DeepStriker” Kenko CloseUpAC Pro1D 
合成焦点距離 2280mm F8.14
インパクトロンCCDカメラTC285SPD ラッキーイメージング 
電子像倍1000倍で撮像
撮影はノーフィルタのみ。カラーは別途撮影した冷却CCDカメラ画像よりLRGB合成
=================================================

M77Inpactron
M77  2秒×480コマ(30%をAS!で選別)+0.5秒×2040コマ(ステライメージ+DSSで選別)

M77です。F8.14と暗い光学系ながらも、1枚あたり0.5秒で撮影できるあたりは流石のインパクトロンCCDといったところでしょうか。この日は非常に透明度が悪かったこともあり、M77の淡い部分は写らず・・。カラーはMT160反射望遠鏡+ST8300Mから拝借しています。

n2261(191101)TC285.jpg
ハッブルの変光星雲 1/4秒×1530コマ DSSにて選別コンポジット

こちらも、明るい天体ではありますが、1コマあたり、1/4秒という短い露出時間にも関わらず良く写ってくれていると思います。星像が崩れているのは光軸か、接眼部がたわんだか・・
ウチのASC-11はタカハシのシュミカセ用ラック&ピニオン接眼部を取り付けているのですが、この接眼部でたわんでしまうのだとしたら、もう使える望遠鏡がありません・・。
まあ、おそらくは光軸の方が問題だったんじゃないかと思います。

それと撮影時と90度回転させているのですが、インパクトロンCCDでの一番の問題は水平方向(写真では垂直になります)に、尾引きが見られることです。
インパクトロンCCDによるM42
M42 インパクトロンCCD オライオン30cmF4反射 

明るい星から左方向に(これも、180度回転させているので、元来は右方向になります)筋が出ているのが解ると思います。
これが頭のイタイ問題でして、たとえば、上のハッブルの変光星雲では、下に伸びる部分がヒゲなのか、インパクトロンCCDの尾引きによるアーティファクトなのか、判断に困ります。

n2392(191101)TC285.jpg
エスキモー星雲 1/4秒×1037コマ AS!3にて選別スタック

露出1/4秒なので、もう少し、ディテールが出てくれることを期待していましたが、どうにもS/Nが今ひとつでちょっと期待ハズレでした。シーイングも悪くなってきてたのかなぁ・・?
明るい中心星がある惑星状星雲は、インパクトロンではアーティファクトが発生しやすいので、得意ではないかもしれません。
ただ、本作だと目立つアーティファクトは、下の星くらい?中心星も疑えばちょっと怪しく思えてきますが・・
きちんと撮るには、90度回転させて比較(暗)合成させるなどの工夫が必要になります。
n1300(191101)TC285.jpg
NGC1300 2秒×960コマ ステライメージにて選別合成

エリダヌス座の棒渦巻銀河です。こういう暗い銀河巡りには向いているようで、案外淡い部分まで写ってくれています。
やや南に低い天体はシンチレーションの影響を大きく受ける為、ラッキーイメージングの効果が大きいと思うのですが、正直なところ、これだったら、冷却CCDでストレートに撮影した方が・・という印象です。

インパクトロンCCD、まとめ

感度は流石に高いです。F8.14という暗い光学系で、2000mmオーバーの焦点距離で、ラッキーイメージングで撮影できるのは、驚き以外のなにものでもありません。

ただ、8μ□のやや粗い画素、100万画素、8mm×8mmのセンササイズ(2/3型)という今となってはビミョーに扱いに困るスペックなのと、何しろ重たい・・ッ!
ドブソニアンで使えれば、尾引きも、回転で緩和ないし目立たなくなるし排除もしやすい、感度は間違いなく、淡い銀河まで捉えることができる、8μの粗い画素ピッチも、GotoDobの追尾精度を考えるとむしろ都合が良い・・・が、重さがやっぱりキッツい _| ̄|○ il||li

ASC-11と組み合わせることで、もう少し面白い映像が得られないかな?と思いましたが、光軸の問題もあったのかもしれませんが、いまいち、ピンと来る映像が得られませんでした。
今回使用したクローズアップAC No3(Pro1D)よりも、No.2でもう少し大きく撮影した方が良いのかも・・?

インパクトロンCCDは、それこそゲインを超上げて撮影しているのと同じで、やはり、設定も画質もピーキーな感じです。
光害地で使うと(バックグラウンドが明るいので)性能を発揮できないというか設定がほんっと難しい・・。電子像倍を抑えれば良いのですが、でも、やっぱり、それだとインパクトロンの意味がないような・・( ̄  ̄;) うーん

アーティファクト(星からの尾引き)については、ASC-11について言えば、90度回転させて撮影することで、リカバーできると考えていますが、でも、そこまでやって撮る・・? ( ̄ヘ ̄;)ウーン
といったところで、悩ましいところです。

もうちょっと考えて使い処は検討してみようと思います、、
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プロフィール

UTO

Author:UTO
子供の頃、図鑑で見たパロマー天文台の天体写真に憧れて、天体写真を初めて幾星霜・・
デジタルカメラの進歩によって、当時のパロマ天文台の写真を超える天体写真がアマチュアでも撮れる時代になりました。

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