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フィルターにおける考察

T-FixさんとよっちゃんがNarrowBand気味のフィルターテストを行ってらっしゃいます。
自分も、7年程前に同種のことを期待してテストしています。その結果から言えば、結論としては、やはりT-Fixさんと同じになりますが・・・一応、ご紹介しておきます。

FL-80S with Reducer  NBN-PV,CV-16冷却CCDカメラ 5分×16コマ
 
実をいえば、当時はこのようなNABGのCCDカメラが未だ主流でその中にあっては、星像を小さくするというよりもさらに深刻な事態だったといえるでしょう。ブルーミングを可能な限り抑制してソフトウエアでの補正結果が不自然にならないようにしなければなりませんでした。
従って、同種の結果を期待してテストされた方も当時は多かった様に思います。
 
NBN-PVの特性

このフィルターは赤外線を透過してしまう仕様でした。
したがって、別途赤外カットフィルタを併用せねばならず、結果として上の画像の様なひどいゴーストが出てしまいました。
撮影日時が2004年1月10日となっていることから、かなりの月夜での撮影でした。
対月光として考えた場合、2つの透過山があることから半値幅が合わせると約80nm程度あることが判ります。
これは、通常のRGBフィルターの透過バンド幅と同じくらいあることになります。
つまり、月光対策としては月夜にRフィルターで撮像するのと変わらないと言えます。
半値幅10nmのHαフィルタに比べれば、8倍も月光の影響を受けるのですから、ちょっと苦しいかもしれませんね。
とはいえ、被写体を選べば、月夜であっても撮影できるのが冷却CCDカメラ。
むしろ、闇夜の悪条件時よりも月夜の透明度の高い晩の方が場合によっては良い結果を得ることがあります。
そういう場合には、この種のフィルタを使うことで、より効果的に撮影することができるでしょう。
 
光害成分は大幅にカットしていますから、光害地で使う分には大きな効果がありそうです。
 
星像については、RGB各フィルターで撮影したのと同程度の抑制効果も見込めます。
ブルーミングもかなり抑制されており、アルニタクのブルーミングが、これくらいなら実用レベルだったのですが(ノーフィルタではソフト補正できないくらいのブルーミングが生じます)、ゴーストがいかんせんひどく、このフィルターの使用は諦めました(赤外カットと併用したのが原因と思われます・・・)
 
星雲のコントラスト強調効果はある程度は期待できる筈なのですが、結果には出にくい様です。
むしろ、反射星雲・分子雲は明らかに写りが悪くなってしまいます(これは上の画像を見ても判りますね・・)から、使いどころが難しくなりそうですネ。
 
しかし、この種のフィルターを用いることで、独特の色表現を得ることが出来ます。

M42 イプシロン200 NBN-PV SXV-H9C

ばら星雲 イプシロン200 NBN-PV SXV-H9C 4コマモザイク合成
 
ちょっと処理が下手っぴなんですけど、独特の色彩になっていることは判るかと思います。
映像エンジンが入るデジカメでは不明ですが、カラー冷却CCDカメラやモノクロ冷却CCDカメラではさほどカラーバランスの崩れは感じません。
モノクロ冷却CCDカメラとこのフィルターの組み合わせでは5年程前にエリーさんが傑作をたくさん作られていました。独特な色調が魅力的な作品で、M16だったかな?いくつかは入選されていたかと思います。
 
この種のフィルターは、カラーカメラではカラーバランスが崩れると良く言われるわけですが、そもそも、輝線星雲のカラーバランスとはなんでしょう?
厳密にやられている方でも、G2V星でのカラーバランス調整をされていますが、しかし、これは連続光でのカラーバランスですから、輝線星雲のカラーバランスはこれでは絶対にとれません。
輝線部分Hα線とOⅢ線のCCDカメラのQEとフィルタの透過率を掛けた時の比率が輝線星雲のカラーバランスになります。が、当然これでバランスを取ると、恒星の色バランスは崩れます。
今なら、PhotoShopで簡単に星と星雲を分離して処理できるのでやろうと思えば、完全WBを取ることもできそうですが・・・・もし、そこまでやられている方がいらっしゃったら、尊敬します。
実際、完全にホワイトバランスを取った写真が綺麗な写真かというと、そうとも限らないとも思いますが・・・・
当時、自分なりに工夫して、Hα,OⅢ,R.G,B,Lの6色分解を行った作品で完全ホワイトバランスをとった例を過去にCANPで発表したのですが・・・あれ~データ、ないなぁ・・
でも、たいした作品にはならなかったデス・・ (´・ω・`)
 
いずれにしても、この種のフィルターはカラー表現としては効果が大きいのですが、モノクロ冷却でRGBフィルタと併用しようとすると、今度は、ゴーストがでそうですから・・・結果的に、カラー冷却CCDカメラとの組み合わせでたまに使っているといったところです。 
 
結局、自分のところではこのフィルターは上手くいってませんでしたが、
正月休みに帰省した際には、NBN-PVが赤外線を透過する利点を活かして、自宅から系外銀河を狙ってみようかな?と思っています。Lフィルターでの撮影とどちらが良いか興味深いところです。
もっとも、IR領域はアルミミラーでは反射率が落ちるので、結局は、Lフィルター有利となりそうですが・・・
一度、テストして判断してみます。
うまくいけば、笠井さん取り扱いのUHC-Eフィルター(これも実は買ってるんですけどね。使ってないなぁ・・ ^^;)が、NBN-PVと同様に赤外スルーになっていると思われますので、光害地での系外銀河撮影にはいいかもいしれません・・?
 
そうそう、もう1点。
T-Fixさんのテスト結果で星像が滲む現象について、自分の見解として、フィルター特性がダブルパルスというか、2山になっているので、その結果色収差で滲むのではないか・・と書きましたが、
赤外透過するタイプのHαで誤って赤外カット併用で撮影しなかった例がありましたので下に揚げておきます。

タムロン300mmF2.8 光映舎Hαフィルタ(半値幅10nm+赤外素通し) ST7Custom
 
ピンだしで微光星を使っているとシャープになるところにピントを出すと赤外線が大幅にぼけてしまい、結果として、Hαが星像の芯があり、それから、少し波長が抜けるところが暗くおちこみ黒縁気味に。
その外側は赤外線の色収差でにじんでいくといった具合です。
NewFD300mmF2.8では色収差はまだ若干残ってますので、NBN-PVではピントをシャープさのみで追い込むとT-Fixさんの撮影結果の様な感じになるのだろうと感じました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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コメント

No title

UTOさん

寒いッですね♪
お天気も悪いようですね。

ひとつのお写真を作るのに、すごい研究をされて
試してみて、努力の映像なんですね。
カメラを改造するとか、いろんな驚きがいっぱいです☆

м42いつも美しく、バラ星雲はちょっといつもと
違う感じに見えます・・・pcのせいかな?・・・☆!デス♪

No title

先人の方々はとっくに色々実験されていたのですね!
新参物の私は全く存じ上げていませんでした<(_ _)>
V3は赤外線を通さないのでLの代わりに単独で使えるのがメリットでしょうか。その分嫌なゴーストの発生は無いようです。
しかしやはり通さない波長があるのはLフィルターの代わりに使うのは無理な気がしてきました。緑と青が淡いコントラストが低い写りな事を見てもLにおいて最も大事なコントラストが低下するようです。

最後に上げて下さった星のにじみはなるほど私のにじみに似ているようですね。
そういえば私も赤外カットフィルターを除去しただけのカメラを使ってノーフィルターで撮影した時同じような星像になった事を思い出しました。
これと似た現象の可能性が高いですね。よけいV3は使わない方がよさそうです。

No title

ろざりおさん、こんにちは。
そうですね、こういうことも趣味の範疇で楽しんでやってます (^_^;)
実は、割とこういうのは好きなんですよ。

No title

T-Fixさん、こんにちは。
いえいえ、なんにもテストしてなくて、理屈だけでやってるわけではないことが分かって頂ければ結構ですよ。
V3はIRカットされているのがいいですね。逆に赤外スルーだとひょっとしたら、光害地での銀河撮影に若干の効果が見込めるかもしれません・・でも、素直にR64を赤外スルーで使った方が正解かなぁ・・
やっぱり、なかなかいい使いどころが難しいですね。
カラー表現上はアリと思うのですが、三色分解フィルタと併用するとやはりゴーストがでそうなので、カラーカメラがいいだろうと、思ってます。

滲み写真は、T-Fixさんの撮影結果と議論を見ていて、滲み面積としてはそう変わらないなぁと思ったときにふと思い出しました。
この時は2005年の正月で、実家に持ち帰ってIRCを忘れたことに愕然としちゃいました・・・(^_^;)

やっぱり、間があれだけ盛大にスッポ抜けるとなかなか厳しいですよね。
でも、この赤外も透過するHα、MT160では問題なく使えました。
一応、銀河で使用・・赤外も通しつつHα強調狙ってみたんですが、結果はやっぱり思う様に出ない・・でした。

No title

UTOさん

一口にフィルターと言っても、ケースバイケースで奥が深いですね。

私は撮影した物は全て、実物と同じでなければと思いながら写真撮影をしてきました。しかし、理想と反して全く異なる色合いの場合も多々有ります。

それが天体を超望遠等で覗いた時、フィルターを使用する事によって様々に変化したとしたら…。どれが本当の色なんだろうって、悩むかも知れません。

今までは、超望遠や天体望遠鏡を覗いてハイ、パチリ物で終わっているのかなの感覚でしたが、色々試行錯誤されて居られるんですね。

やっぱり色々経費も掛かりますし、人からこれは素晴らしいと言われる写真を撮るという事は並大抵の苦労ではないと思いました。

今後も素晴らしい物撮影して下さいね。

No title

ヒグマさん、コメントありがとうございます。
実物を見てその通りの色合いに写せるのが一番だと思います。
ただ、天体写真だと基本目で見えないのと、もっと言えば目の感色性に合わせて撮影しても実はあまり綺麗な色合いになることがなくって・・・。
特殊な改造して赤が写りやすくなったカメラを使っています。
本当は暗い赤色(静脈の血の色)を鮮やかな赤色として際限させていることになるので、う~ん・・・と思わないでもないです。

ヒグマさんが色やツヤ、質感から組成を分析されているように、天体写真も科学写真の端くれとして、それぞれ光の成分を分析して上手く扱っていきたいというのがありまして、それで、この様なフィルターは有効なのか?と考えたりしています。

No title

理屈の上ではすごく効果的に思えるのですが、実際には思ったよりも劇的な効果が無いことも多いんですけどね (^^ゞ

ただ、これがまたフォトコンテストという観点からすると、他人が上手くいかないという情報は、実はつけ込む隙があるわけで。

以前、他人が上手く行ったという情報は美味しくいただけ、ダメだったという情報は疑ってかかれ!とおっしゃっていた方がいます。(ちょっと違うけど、ニュアンスはこんな感じ)
ボクのところではイマイチ上手くいっていなくても、美味しい利用方法はある筈・・・やはり自分の環境でどうなのか、やってみることは重要だと思います。

No title

UTOさん

具体的なご説明有り難う御座います。

天体写真はカラフルな物がやはり目を引きますね。それが本当の色だと思って居る方も大多数居られるかも知れません。私もその一人かも知れませんが・・・。ハハハ。

そこなんですよね。出来ないから諦めてしまうのではなく、色々と創意工夫して取り組む姿勢が一番大事だと思います。結果、その時には分からなくても…良い案が出なくても…何歩か歩けば、閃くかも知れませんし…。それが為には、出来る出来ないではなくやる事が大事だと思います。

やはり物事って訳が分からなくてもやってみる事によって身近に感じる場合も多々有りますね。

何事に依らず幅広い視野が重要だと思います。有意義なお話し有り難う御座いました。今後も頑張って下さいね。

No title

ヒグマさん、こんばんわ。
やっぱりカラフルなのが綺麗で一番ですからね~ (^^ゞ
実際にどうか?と言われても、だって見えないも~んとバックレられるのが天体写真のいいところかもしれません??? (^_^;)
モチーフはたいてい同じになってしまうので、色も含めて、どう表現するか、が問われるんだと思ってます。(そう考えた時に、V3フィルタ等は魅力が出てくる訳です)

全く、仰る通りでして、諦めたらそこで終了ですよね。工夫して取り組むのが大事、ホントにそう思います。まずはやってみてそこから知見を得ることも大事ですね。それが次につながると理想的ですが、そうならなかったとしても得るものはありますものね。
広い視野、これもホント大事だと思います。やはり、趣味は違えど、その根底にある精神は同じですね!こちらこそ、有意義なお話ありがとうございます。
ヒグマさんもお体に気をつけて(風邪、大丈夫っすか?)頑張ってください。

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プロフィール

UTO

Author:UTO
子供の頃、図鑑で見たパロマー天文台の天体写真に憧れて、天体写真を初めて幾星霜・・
デジタルカメラの進歩によって、当時のパロマ天文台の写真を超える天体写真がアマチュアでも撮れる時代になりました。

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