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こないだのM82の解説

GW,当初の予報と違って、好天したこともあって、撮影にでかけたこともあって、本当は、次の記事で行うつもりだった、ネタばれ(笑)が遅くなってしまいました。


さて、この写真ですが、王道の天体を邪道で表現してみようと当初から計画していました。
行なっていることは、
1)通常のLRGB撮影した画像
2)Hα撮影した画像
3)短時間露光多数枚による高分解能画像

の3つの画像をそれぞれ作成して、Ps上で統合しています。

1)の通常LRGB画像に関しては、ST8XMEを使用して、撮影しました。
2)のHα画像ですが、こちらもST8XMEを使っての撮影ですが、フィルター厚が異なることもあり、拡大率が多少変化しているのではないかと思われます(・・CCDStackで任せたのでチェックしなかったですが)
3)は、実はST8XMEでも短時間露光多数枚撮影を敢行してはみたのですが・・・結論からいえば、あまり得策ではなかった感じで、結果的に、以前にお見せしたDFKカメラによる画像を使うことにしました。
画素サイズが細かい事(5.6μ)、さらに、ラッキーイメージングが効果的に機能していることもあって、やはり分解能という点ではオライオン30cmF4の光学系を使った場合には、ST8XMEの9μ画素との構造描写の差は一目瞭然でした。
そこで、これを使わない手はないな、と (; ̄ー ̄川 アセアセ
・・・シュージンあたりに、作り方は本当に邪道だったんだ。そんな作り方をしていてはダメだ。と言われてしまいそうですが・・( ̄▽ ̄;) 

まあ、せっかく複数の機材を持っていることですしね。各機材の特徴を活かして撮影した結果を1つの写真に統合する。王道の邪道バトルってことで (^^ゞ
んー・・でも、光学系やカメラを変えた画像を1つの写真に統合するって、天文台画像ではよくある手法なんですよね。まあ、X線だったり、可視光だったりで、使っている波長域も目的も全く違うのですが。。
やり方自体も、王道ではあるけれど、それを鑑賞写真でやるというのはやっぱり邪道?
でも、まあ、見事にバクマン。からインスパイアされてます(笑)・・・最近、面白くないけど・・(汗)

で。そうなると、一番高解像の画像に合わせて作画していく必要があります。
DMKカメラによる高解像画像を基準として、まずはST8XMEの画像を補間拡大しなければなりません。
そこで、使うのがDrizzle。ただ、DSSでは大きさは自由に指定ができませんので、大きく拡大した後で、画像サイズが1.6倍になるように縮小する方向で進めることにします。
5分露光で撮影して、Drizzleを行うのに必要最低限な枚数は確保できていますので、Drizzleで拡大後、CCDStackで縮小します。
ただの補間拡大に比べて、星はシャープになる印象です。

ただ、エムティさんが以前に仰っていましたが、DrizzleはFFT型CCDのST8XMEでは効果が薄い感じがします・・
インターライン型CCDでは、光を受けるフォトダイオード以外にも、転送路が設けられているので、わずかにずれた画像を位置合わせすることで、より高分解能化が期待できる為、Drizzleでは効果大になるのだろうと思います。さすが、よく勉強されていると思います。

Drizzleで拡大はいいのですが・・・やっぱり、こういう画像って、元画像が大事なんですよね・・
星像が綺麗な○でないと、粗が目立つ格好になってしまいます・・・
まあ、それは、カラー冷却CCDでのM51でも同様でしたが・・・
条件も違うし、拡大率も異なるので一概には言えないのですが、カラー冷却CCDだと、さらに、ベイヤー配列ですからね・・Drizzleはかなり効果的に機能していると思えます。
ただ、DSSが備えているBayer-Drizzleは使えてないみたいでした・・それでも、UnderSamplingになりがちなカラーカメラでは、Drizzleは効果が見込める手法ではないかと思えます。

2)のHα画像ですが、実は、こちらはDrizzleだと旨みが無かったというか・・・ノイズに引っ張られるんでしょうね。S/Nを大きく損ねてしまいました。
そこで、残念ながら、Hα画像は通常補間拡大で、水増ししてあります。
その結果、Hα画像だけ解像感がもう一歩な感じになっていて(もともと淡いからかもですが)一部、解像感に違和感が生じています(極力、ごまかしてはいますが・・・さすがに作成している自分は騙せ無いですからね・・)

3)のDMKカメラによるラッキーイメージング画像に関しては、そのままですが、当然、マスクを使って、中心部のみを使うことになります。
さらに、馴染ませる為と、Hαの吹き出しが完全に消えてしまうのを嫌って、レイヤーの合成割合は50%としました。
1)の画像についてはDeconvolutionで相当ギチギチに解像感を上げたこともあって(Drizze→Decoの流れで超解像)、一瞬、DMKカメラ、役に立ってなくね?と思えるくらい、高解像になってたこともあり(実際に見比べると、それでもDMKカメラの方が解像が高かった)合成割合をさげても、違和感なく、かつ、自然に馴染ませられました。五月蝿くいえば、この部分、マスクをもう少し工夫した方が良かったかな?Hαの赤い柱が、若干、中心付近で薄まっているのは、安易に中心部のみマスクを使って置き換えているから・・です。
Rチャンネルだけ、そのままにするとか、やりようはありそう・・。

Hαの扱いも難しかったのですが、正攻法で、R+Hα画像を作成してRGB合成してみたもののイマイチ・・・
そこで、RGB画像と、HαGBカラー画像を作成して、それぞれ、Ps上でカラー合成しています(Lab使うので別ファイル)
L画像は、L画像+Hα画像を使った気もしましたが・・・こちらも、ひょっとしたら、L画像は、L画像、Hα画像はHα画像で、レイヤーに置いて合成したかも。どっちの結果を使ったっけな・・・
なにしろ、5,6回は悩んで処理をやり直していたと思ったので、ムダファイル、ムダレイヤーが沢山できてしまいました・・・(^^ゞ
でも、そのかいあって、出来上がった写真には満足しています。

一応、天文ガイドには応募してはみましたが・・多分ダメでしょうねえ・・
手法的にも疑問がありますし、あと、プリントも、もう一歩イマイチで・・
プリント、ニガテ・・・ノ(-______-;)ウゥーム・・・. 

まあ、M82の様な明るい天体でも無い限りは、DMKカメラでの撮影がまずできませんので、この手法を使う様なことはあまりないとは思いますが(と、いうかDMKカメラ画像の選別がキツ過ぎ・・)
高解像部分の描写はDMK,淡い部分の描写は高感度に長けるST8XMEという2つのカメラを使って撮影した結果を融合させることによって、現状で、自分としては最高のM82が出来たと思っています。

高解像・高感度のSXVR-H694ならば、このような苦労は不要になる可能性が高いと思っています。
やろうと思えば、LuckyImagingも、サブアレイスキャンでこなせるでしょうし・・実際、ホームズ彗星などはSXV-H9でやってましたしね。
いろいろな、撮影が出来そうで楽しみにしています。

超解像や特にDeconvolutionについても、いろいろと説明はしたい気もしないではないのですが・・・
特にDecoは何回か記事にもしたいなと思ったこともあるのですが、
・・・・うーん、仕事上、知り得た知識も含んでしまう気もするので、やっぱり、なかなか書けないんですね。
市販ソフトで自分で実戦して得た結果なので、その点では問題ないのですが、ベースとなる知識まで考えると・・・さすがに・・・ちょっと。考え過ぎかな~ (^^ゞ

まあ、会社のソフトウエアエンジニアの方からは、まだDeconvolutionなんてやってるの!?とか言われちゃってるくらいですので、すでに古臭い技術なのでしょうが・・・
実際、超解像技術ってこの5~10年ほどで大きく伸びた分野だと思います。市販の天文ソフトでもっと積極的に超解像技術を応用した製品があってもいいのにね。

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コメント

No title

こういう解説待ってました。途中は難解ですが授業を聞いているようで大変面白く、ためになります。
自然な処理が王道でしょうけれども目的を明確にして技術を駆使して目的を達成するのも大いにアリではないでしょうか。
ちょっとためらっておられるDeconvolutionのお話は特に聞きたいです。
内緒でも良いので(笑)是非教えてください。

No title

このM82を見て、「すっげー!」と感動して、自分の画像もDeconvolutionして見ましたが、元画像がよくないとダメっすね(汗)。なるほど、こんなに色々な要素の画像を集めてひとつの作品になっているのですね。
UTOさんの解説はいつもながらとても面白いし1つの読み物にもなってて、アストロアーツあたりから出して欲しいくらいですね。
そういえば、超解像というお題で、メールで解説をしていただいた事があったなあと、記録を見ていたら、2001年にお話を伺ってました。
11年前...なんか、びっくりですね。どひゃー。歳をとるわけですよねー。

No title

画像処理ってすごいんですね。で素晴らしいのができるんですね。はぁー自分のしてる事はなんて幼稚なんだろう。頑張ります。
ところでオフアキ計画。ST402ではどうやってもピントが出なく(でかくて接眼部のいろんなのにあたる!)撃沈です。

No title

邪道ではないと思うのですが、対象からの情報を組み合わせて画像にしているだけで存在しない物理的な物を創造しているわけではないので自然と言えば自然です。これを邪道としたらデジカメのベイヤー補間やRGB合成を否定することになるように思います。画像復元も数学の応用であり作品に生かすのもいいですよね。私の頭では理解できませんが。

No title

シュミットさん、こんばんわ。
楽しんで読んでいただけて嬉しく思います。ちょっと、自分の独りよがりな考え方の言い訳みたいなものですから・・さすがにちょっと恥ずいかも (^^ゞ

そうなんですよねえ、自然な処理が一番だと思うのですが、系外銀河だとなかなか難しいですね。
惑星だとさらに難しい訳で、自然な処理の結果が昔、すばる望遠鏡が捉えた火星像なのでしょうから・・
仰るとおり、目的を明確にして処理していくのがいいのかもしれませんね。

No title

ふにゃ太郎さん、こんばんわ~
そうなんですよね、画像に無理をさせてしまうので、元画像が良くないとなかなか厳しいという印象を持っています。
今回は特に、特徴的な要素を持っている天体なので、そこに着目した画像を用意して、合成した方が、結果が良くなりました。
記事、面白いと言っていただけて嬉しいですね~。

超解像、確かに、それくらい前から、調べてたかも。当時、SONYが周囲16点を参照して補間拡大していたり、EPSONでも、デジカメにHiPictだったかな、やっぱり補間アルゴリズムを改良して画素数を増やす技術に興味津津でした。

それにしても、11年前かぁ~
確かにお互い、トシもとりますね~

No title

石井さん、こんばんわ~
画像処理って奥深いですよね~
ステライメージだけでも、相当いろいろなことが出来てしまうので、一つ一つコマンドを探ってみるだけでもいい勉強になるかもしれません。
あとは、Psの様な優れたレタッチソフトウエアを使っていくと、自由度が非常に高くなって良い作品が作れる様になると思いますよ。

オフアキ、残念ですね・・。

No title

エムティさん、こんばんわ。
うーん、今回は、違うカメラ使った結果を局所的に上乗せしてしまってますからねぇ・・(´-ω-`;)ゞポリポリ
しかもマスクまで使って上乗せで、行なっていることは自然に見える様に、違和感が無い様に馴染ませる・・ですから、やっぱり、やり方自体は邪道だと思うのですよねー。でも、個人的には、アリな方向性です。
あまりにもあからさまなのは論外ですが、パッと見で見破られないなら、まあ、いいかなーと ( ̄▽ ̄;)
結果として、自分が望む映像表現になったわけですしね。と、最近、割り切ってます (^^ゞ

RGB合成や、DeBayer、Deconvolution自体はアルゴリズムは明瞭ですから、否定するものではないのですが、ただ、これをマスクを使って局所的に使った場合、やっぱり、すでに画像処理とは言えない(レタッチの範疇=表現の為のフォトレタッチ)と思うんですよね・・
まあ、マスクを使うのが邪道だと言うわけではないですが、表現の為の手法であって、画像処理(=数学)ではないと思うんですね。

No title

GWの出だしは良かったようですね。うらやましい。
違うカメラで撮影しての合成は私も時々やりました。まあ、デジイチをカラーに、冷やしをLにって感じだけなんですけど。L画像は旬なもので、RGBやHαは使いまわしもあり得るかもです。邪道だとは思いますが...

No title

sora-canさん、こんにちは~
出だしは一応、撮影できました。作品にはならないかなとは思いますが、でも、撮れただけでも良かったな~と、雨空を恨めしく眺めてマス・・
LRGB合成のいいところは別のカメラから持ってきたり、シーイングが良い時はLのみ撮影してより高画質を求めたり、応用性が高くなるところですよね!
RGB使い回しは、昔、それで月刊天文には入選させていただいたことがあるんですよ。星ナビや天文ガイドだとどうか解りませんが・・
RGB画像は一度良いものを得ておけば良いので、使い回ししたくなりますね。
でも、デジカメで頑張ってる人から見たら、それって、ズルイ!ということになりそうですよねー。
やっぱり、邪道になるんでしょうねえ・・ ε=( ̄。 ̄;)フゥ
少なくとも、正攻法ではない、といったところでしょうか。
とはいえ、ボクもHPの方の作例では、RGB使い回しやってます。
昔から、LはMT160で、RGBはR200SSで撮影して合成していましたので、効率を考えたら、その方がいいですし。

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プロフィール

UTO

Author:UTO
子供の頃、図鑑で見たパロマー天文台の天体写真に憧れて、天体写真を初めて幾星霜・・
デジタルカメラの進歩によって、当時のパロマ天文台の写真を超える天体写真がアマチュアでも撮れる時代になりました。

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